※コンプライ率:『コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2021年12月末時点)』(東証)にて公表されている各原則のコンプライ状況のうちプライム市場選択会社のコンプライ率を記載しています。
基本原則5【株主との対話】 (コンプライ率:100%)
上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。
企業が持続的に成長するための答えは一つではないので、経営陣の考えと投資家の考えに違いがあって当然です。投資家から有意義な意見が得られたのであれば採用を検討すればいいですし、そうでなければ経営陣の考えについて理解を得られるように努めなければなりません。
原則5-1【株主との建設的な対話に関する方針】 (コンプライ率:99.62%)
上場会社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応すべきである。取締役会は、株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針を検討・承認し、開示すべきである。
対話については積極的に対応する企業もあれば、消極的な企業もあります。対話自体には応じるものの、投資家の意見には耳を傾けようとしない企業もあります。株主総会の承認を得たい議題がある時だけ対話に積極的な企業もあったりします。
ここで企業側として考えておくべきは、機関投資家は多くの企業に投資しているのですから対話先も同じ数だけ存在します。その中で対話の姿勢の違いは良くも悪くも際立ちます。日頃から対話に積極的で、投資家の意見にも前向きに耳を傾ける企業の方が、他企業との対比から心証が良くなり、理解も得られやすくなります。そういったことを踏まえて対話に取り組むといいのではないでしょうか。
補充原則5-1① (コンプライ率:99.18%)
株主との実際の対話(面談)の対応者については、株主の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣幹部、社外取締役を含む取締役または監査役が面談に臨むことを基本とすべきである。
2021年改訂時に追記のあった補充原則です。面談対応者として監査役が明記されました。
投資家との対話に際してはIR担当役員が面談相手となることが多いのですが、投資家からすれば特定の事業分野については担当役員のほうが議論しやすいでしょうし、経営監督については社外取締役から直接話を聞きたい場合もあります。投資家の要望について無理のない範囲で対応することが求められています。
補充原則5-1② (コンプライ率:99.67%)
株主との建設的な対話を促進するための方針には、少なくとも以下の点を記載すべきである。
(ⅰ) 株主との対話全般について、下記(ⅱ)~(ⅴ)に記載する事項を含めその統括を行い、建設的な対話が実現するように目配りを行う経営陣または取締役の指定
(ⅱ) 対話を補助する社内のIR担当、経営企画、総務、財務、経理、法務部門等の有機的な連携のための方策
(ⅲ) 個別面談以外の対話の手段(例えば、投資家説明会やIR活動)の充実に関する取組み
(ⅳ) 対話において把握された株主の意見・懸念の経営陣幹部や取締役会に対する適切かつ効果的なフィードバックのための方策
(ⅴ) 対話に際してのインサイダー情報の管理に関する方策
企業全体で対話をサポートし、投資家からの意見を社内に還元することが求められています。これらの方策を定めただけでは対話促進にはならず、経営陣は企業成長にとって対話が有用なものであると理解していることが前提となります。
補充原則5-1③ (コンプライ率:99.95%)
上場会社は、必要に応じ、自らの株主構造の把握に努めるべきであり、株主も、こうした把握作業にできる限り協力することが望ましい。
日本の上場企業の場合、信託銀行が大株主となっていることが多いのですが、これは機関投資家が信託銀行を名義人として株式を保有していることに起因します。信託銀行が名義人として議決権を行使しているならば対話の相手先も信託銀行ということになりますが、機関投資家の多くは実質的な株主として自ら議決権を行使しているため、対話の相手先も信託銀行ではなく、その裏にいる機関投資家ということになります。
問題は、株主名簿は名義人しか分からないため、信託銀行の裏にいる機関投資家が誰であるか分からないということです。投資家から対話の申し入れがあれば判明しますが、すべての投資家が申し入れているわけではないので、保有していそうな投資家を訪ね歩くことを強いられているのが現状です。
本補充原則では自助努力によって実質的株主の把握に努めることを求めていますが、企業の負担を考えると実質的株主の名簿作成を制度化することが必要です。
原則5-2【経営戦略や経営計画の策定・公表】 (コンプライ率:87.70%)
経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人的資本への投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。
経営戦略・経営計画自体は上場企業であれば公表しているものですが、抽象的な言葉が羅列されているだけの経営戦略や、裏付けとなるデータ等具体性のない経営計画を戒めています。経営戦略等は株主に対して経営陣が何をしようとしているのか示した工程表ですから、その内容が明確でなければ企業の将来像が描けず、株主としても次のアクションの判断に困ってしまいます。
補充原則5-2① (コンプライ率:83.79%)
上場会社は、経営戦略等の策定・公表に当たっては、取締役会において決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況について分かりやすく示すべきである。
2021年改訂時に新設された補充原則です。
経営戦略等とあわせて事業ポートフォリオの見直しの状況を示すことが求められています。


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