概観 - コーポレート・ガバナンスの目的

2022-04-16

ガバナンス

 先の定義のとおり、コーポレート・ガバナンスとは、企業という組織を経営がいかにコントロールし、不正等が発生しないようにし、さらにはより良く事業運営ができるようにすることです。

 つまり、①企業価値を下げないようにすること(不正等が発生しないようにすることで、金銭的損失だけでなく、レピュテーション等事業継続における損失を発生させない)、②企業価値を向上させること(より効果的な事業運営を行うことにより発生する企業価値だけでなく、ガバナンスの優れた企業として企業評価の向上を見込める)の2点が目的となります。

 しかし、経営陣としては、不祥事を起こすつもりで経営しているわけではありませんし、企業価値を高めることにも異議はないでしょうから、コーポレート・ガバナンスについて殊更傾注する意義が分からないかもしれません。

 実効性のあるガバナンス体制を構築するのは、経営陣ではなく株主をはじめとするステークホルダーのためです。放漫経営で不祥事を発生させれば企業価値を損なうことは容易に想像できますが、従業員や取引先から搾取して会社利益・株主利益を短期的に高めても、中長期的に見ればレピュテーションを棄損させ企業価値を低下させることになります。

 企業価値を高めることを欲しているのはステークホルダーであり、その代表格である株主は保有する議決権により経営陣に対して意向を反映させることになります。株主がよく知っている人物を経営陣に据えているならば任せて安心かもしれません。しかし、上場会社のような場合、株主のほとんどは経営陣のことを知る機会がないままに選任を迫られます。そこで社外取締役を導入することで上記①②について経営陣を監視するとともに、それに相応しい人物を経営者候補として選出してもらいます。

 つまり、株主をはじめとするステークホルダーのために経営者がしっかり働いてくれることを担保しようとするのがコーポレート・ガバナンスの肝となります。


QooQ