概観 - ESGの中のガバナンス

2022-04-15

ガバナンス

 株式投資に注目されている方ならば、「ESG」という用語を最近見聞きするようになったのではないかと思います。ESGとは、環境Environmental・社会Social・ガバナンスGovernanceの頭文字を取ったものです。

 環境や社会の問題解決のために、機関投資家に対して国連や各国が責任ある投資を提唱したことがESG投資という形となり、投資対象である企業が環境問題・社会的貢献・企業統治に積極的に取り組むことが求められる一方、機関投資家がESGの観点も踏まえて投資対象となる企業を選別し、ESGに取り組むよう企業に働き掛けることが求められています。

 「サステナブル」「SDGs」といったコンセプトの浸透と相俟って、環境・社会の面における取り組みは各企業の事情にあわせて見られるようになりましたが、ガバナンスについては形式面を整えることに終始しているにように思われます。機関投資家からの働き掛けが社外取締役の数などの形式面に着目しがちであることに起因するのかもしれませんが、外部からではガバナンスの実効性について評価するのが難しいという事情もあろうかと思います。

 しかし、ガバナンスは形式だけ整えればいいと考えるような企業が、環境・社会の面で真剣に取り組むでしょうか。自社の経営の在り方を顧みない経営陣がサステナブルやSDGsと唱えたところで何かをやっている感を出すためのポーズにすぎず、インパクトのある取り組みに至るとは到底思えません。各企業の経営陣が時代の要請をしっかり踏まえ、より高い意識を持ってこれら諸問題に取り組むことが求められるということは、E・S・Gのいずれでも疎かにするような企業はおそらくこれら諸問題について表層的にしか取り組んでいないでしょう。

 環境問題や社会的貢献について取り組むことは、コスト高になるなど事業そのものにはあまり貢献しないとの判断から経営者は前向きになれないかもしれません。あるいは、経営者に取り組む意欲があったとしても、メリットを感じない現場は動かないかもしれません。これら取り組みを進める上では、経営がコミットした理念・方針にしたがって組織が動くよう指揮し、コントロールしていくこと、および経営の執行状況を監督していくことがしっかりできる態勢が肝要になります。すなわち、E・S・Gの3要素のうちガバナンスが最も重要ということです。


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