経営陣の企業成長に向けた努力が不十分ということで、役員選任議案の対案を呈示しているものです。
議決権行使助言会社のISSやグラスルイスはバリューアクトの提案を支持する旨の推奨を示しています。(推奨内容はいずれの当事者も開示していないので詳細は不明です)
セブンは今のところ対決の姿勢を見せており、バリューアクトや助言会社に対して反論しています。
バリューアクトの提案理由はセブンが主張するように短期的な利益を追求しているだけではないかと思われますが、だからといって不当な内容と言い切ることもできません。
提案内容の正当性はさておき、今回の株主提案は多くの上場企業が懸念すべき内容です。
セブンが提案した役員選任議案のうち現任取締役5名に代わって社外取締役を4名提案するというのがバリューアクトの提案内容です。
バリューアクトが主張する事業戦略を押し通すために、現経営陣をクビにし、代わって株主の意向に従う取締役を送り込むものです。
バリューアクトが送り込む候補者だけで取締役会の過半数に到達するわけではありませんが、取締役会の主導権を握るには見込み十分ということなのでしょう。
ここで問題となるのは、バリューアクトの意図とは関係なく、株主提案のほうが会社提案よりも外形的にはガバナンス強化となることです。
取締役会の構成(会社・株主提案の総会議案の一方が全面的に承認された場合)
|
会社提案 |
株主提案 |
人数 |
15 |
14 |
社外比率 |
60.0% |
71.4% |
外国人比率 |
33.3% |
57.1% |
女性比率 |
20.0% |
28.5% |
しかし、モニタリング・ボードを是とするコーポレートガバナンスの考え方の下では、社外取締役比率がより高い提案のほうがガバナンス面で見ると優れていると判断されます。
外国人比率・女性比率についても同様です。
形式面しか見ていないような助言会社や機関投資家は、2つの提案のうちバリューアクトの提案を迷うことなく選ぶでしょう。
これを利用してバリューアクトは自身にとって都合の良い取締役を送り込むことが可能になるわけです。
一部株主のそのような動向から会社を防衛するためには、コードを満たしているだけでは不十分で、社外取締役比率をさらに高めることを考える必要があります。
とくに、海外の機関投資家の多くは助言会社の推奨に従う傾向が強いことから、海外株主の比率が高い企業は早急に見直すべきでしょう。
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